1962年、当社は大阪・堺の地に敷物卸問屋「トーホー敷物」として創業しました。ここ堺は大阪湾に接し、かつて貿易によって発展した“堺商人”を生んだ街です。中世には中近東の文化が伝わって生まれた手織りの敷物「堺緞通」が盛んに生産され、高い品質と優れたデザインが人気を博し、堺から世界中に輸出されていました。

当社が創業した昭和30年代にもその伝統は色濃く残っており、織り屋、撚り屋、染め屋と呼ばれる職人が腕を競う、良質な敷物の産地でした。創業者である私の父、濱口勝也も、繊維売りとして商売のノウハウを身に着けたそうです。

産業としての堺緞通は徐々にその規模を縮小していきましたが、当社は高度成長期に海外メーカーとの取引を開始、また東京・名古屋に営業所を開設、小売店をオープンするなど、敷物を専門に扱う商社として事業領域を拡大してまいりました。

そこには、時代を見抜くまなざしを持ち、グローバルに活躍して、あらゆる要望に応えようとする堺商人の精神、「SACAY SPIRITS」が息づいているのだと思います。

その後も当社は、産業構造やサプライチェーンが大きく変化していく中、バブル崩壊、リーマンショック、コロナ禍など幾多の試練を乗り越え、常に時代に合わせてさまざまな変革を繰り返してきました。

しかし、私たちの根幹は創業時から変わっていません。それはご要望にお応えすることに喜びを見出す堺商人の気構えであり、“売り手よし、買い手よし、世間よし”という三方良しの精神であり、社員、お客様、取引先、関わるすべての人々に対して感謝し幸福を願う心です。

当社には、60年以上の長きにわたり敷物専門商社として積み重ねてきた経験があり、堺商人と、堺緞通を生んだ地という誇りがあります。

これからも従業員一同、あらゆる人々の暮らしに最適な品を提案するフロアライフのパイオニアとして、ここ堺から“新時代の堺緞通”をお届けしてまいります。

今後ともいっそうのご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。